不動産業の開業にあたっては、営業保証金の供託ではなく、保証協会加入による分担金の納付を選択することもできます。
保証協会へ加入するメリット
保証協会(および業協会)への加入と分担金の納付を選択すると、供託のように高額の営業保証金を供託する必要がなくなり、また業界団体から様々なサービスを受けられるなど、多くのメリットを享受することができます。
- 供託ではなく分担金で済むことから、開業時の費用を低く抑えられる
- 業界団体に加入することで、会の活動に参加して同業者と親睦を図れる
- 情報の提供や研修制度など、協会が提供するサービスを得られる
- 不動産業に必要な備品や契約書などを有償・無償で入手できる
実際、不動産業を開業される方の多く(9割近く)は、供託ではなく保証協会への加入及び分担金の納付制度を活用している現状があります。
保証協会に加入するデメリット
保証協会への加入を選択すると、宅建業免許の申請手続きとは別に、保証協会への加入手続きが必要です。
開業の手続きが二段重ねとなり手間がかかる
書類はそれぞれの団体・支部や加入希望者の状況に応じて様々ですが、主に宅建業免許申請時の書類と、その他に法人の印鑑証明書や連帯保証書などを提出します。また書類提出後には、保証協会からも事務所の現地調査などが行われます。
この保証協会への加入手続きですが、免許の通知が到着してから手続きを始めたのでは、宅建業の営業開始までトータルでかなりの期間を要することになってしまいます。保証協会の利用を考えているのであれば、宅建業免許の申請手続き開始と同時に、一度協会の支店窓口などで相談しておくほうがよいでしょう。
主なデメリット
敢えてデメリットをまとめるとすれば、それは営業保証金のメリットの裏返しである、以下のような点です。
- 宅建業で営業を開始するまでの日数が余分にかかる
- 月々の会費が必要になるなど、継続的な経費が発生する
- 会の活動や研修などに参加しなければならない場合がある
- 廃業時に分担金は戻ってくるが、他の入会費などは原則戻ってこない
月々の会費は年間数万円程度なので、それほどのコストには感じられないかもしれません。しかし、最後に挙げた廃業時の違い(入会金等は戻ってこない)点は、供託所へ営業保証金を供託する場合と比較して、100万円程度の違いが生じます。
開業時に営業保証金を供託できる資金状況にあるのなら、各業界団体のパンフレットや見積書を取り寄せ、サービス内容をしっかりと確認してください。
その後、営業保証金を供託することで済ませるか、それとも業界団体に加入するか、比較検討することになります。