支店を別の都道府県内に移転させる大臣免許換え

たとえば東京都内に本店と支店(または従たる営業所)を設置している不動産業者さんが、支店(従たる営業所)を他の道府県内へ移転させるのであれば、宅建業免許は東京都知事免許から大臣免許への免許換え手続きを行わなければなりません。

この際、大臣免許が下りるまでの期間、これまでの支店(従たる営業所)で営業を続ける予定があるのかないのかによって、大臣免許化の流れは2つに分かれます。

支店を別の都道府県に移転することによっての大臣免許への免許換えは、簡単なようで意外と混乱しやすい手続きかもしれません。

本店、支店とも営業を続けながら他県に新たな支店を設置するとき

東京都内に本店と支店(または従たる営業所)があって、新たに他道府県に支店(従たる事務所)を移転するものの、移転先の支店で営業できるようになるまで(つまり大臣免許が下りるまで)は、引き続き東京都内の支店(従たる事務所)で営業を継続しておきたい状況のとき。

このような場合、まず新たな他道府県の支店(従たる営業所)に、東京都内の支店(従たる営業所)とは異なる政令使用人や専任の宅地建物取引士を指定して宅建業上の営業所の要件を整え、この状態で大臣免許への免許換え手続きを行うことになります。

そして、大臣免許が下りたらあらためて、東京都内の支店(従たる営業所)を廃止する手続きをとります。

供託金や保証協会は一時的に3店舗分が必要

大臣免許が下りるまでは、東京都内に本店と支店、新たな他道府県内に支店(従たる営業所)が存在する状態になるため、前述の政令使用人や専任の宅地建物取引士など人的な要件に加えて、供託金(または保証協会の分担金)など財産的な要件も、一時的に3店舗分が必要となります。

この方法を選択することで、大臣免許が下りるまでの審査期間中も、それまでと同様に東京都内の支店(従たる営業所)でも不動産業の営業が継続可能となりますが、人的、財産的要件に加えて事務所の賃料も審査期間中は3カ所分がかかりますから、コスト面では出費のかかる方法です。

大臣免許が下りるまで支店の営業を停止するとき

一方、たとえば東京都内に本店と支店のある宅建業者さんが、新たに別の道府県に支店(従たる営業所)を設置するものの、その手続きの前提として東京都内の支店を廃止するのであれば、これまで東京都内の支店(従たる営業所)で勤務していた政令使用人や専任の宅地建物取引士を新たな他道府県の営業所に設置すればよいことになり、人的な面では負担が少なく済みます。

保証協会の分担金が一時的に3店舗分必要なのは変わらない

もっともこの方法をとる場合でも、廃止した東京都内の支店(従たる営業所)の保証協会分担金は、数ヶ月後にならなければ返還されませんから、原則、一時的に3店舗分の分担金が必要となる点は変わりません。

ただし、事務所として使用する物件の賃料は、東京都内の支店(従たる営業所)で使用していた物件を先に解約できるため、多少負担が少なくなります。

 

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