宅地建物取引業免許を取得するためには、各事務所で宅建業に従事する人数によって一定数の専任の宅地建物取引士(旧・専任の宅地建物取引士)を設置しなければなりません。
人数は、基本的に1つの事務所に勤務する宅建業従事者5人につき、1人の専任の宅地建物取引士の設置となります。(5人に1人含まれなければなりません)
専任の宅地建物取引士
不動産取引の際、重要事項の説明などは専任ではない一般の宅地建物取引士(宅建の試験に合格して、資格登録した人)でも行うことができますが、宅建業を営む上では、必ず専任の宅地建物取引士を指定して、各事務所に設置しなければなりません。
専任の宅地建物取引士に求められる専任性
一般的な宅地建物取引士と、専任として指定された専任の宅地建物取引士の違いは、その名称に現れる「専任」性です。
専任性は、常勤性と専従性という、2つの要件を満たさなければなりません。具体的には、次のような人は通常、常勤性や専従性が認められず、専任の宅地建物取引士に指定することはできません。
常勤性や専従性が認められない場合
- 他の法人の代表取締役や常勤役員
- 他の職業の会社員
- 公務員
- 営業時間中に常時勤務できない者
- パートやアルバイト(勤務時間が限られる)
- 自宅が通勤に適さないような場所にある者
- 兼業業務に従事する者
- 複数の事務所を行き来し、両事務所で業務を行う者
また、宅建業免許を受ける(受けている)会社の監査役は、業務を行うのではなく、会社を監査する独立した存在ですから、専任の宅地建物取引士になることはできません。
宅建業免許取得時の注意
宅建業免許を取得する際には、専任の宅地建物取引士が誰であるかを指定する必要があります。このとき、その専任の宅地建物取引士になる予定の人が、宅地建物取引士資格登録簿に以前の勤務先が記載されたままになっていることがよくあります。
前職の情報は宅地建物取引士自身が行政庁で変更する
以前の勤務先が記載されたままになっていると、新しい勤め先で専任の宅地建物取引士として登録することができません。住所、氏名、本籍地などの変更がある場合にはそれと合わせて、宅地建物取引士資格登録簿の内容を事前に変更しておくようにしましょう。
以前の勤務先が、専任の宅地建物取引士の退任届または廃業届などを知事や大臣に提出したとしても、それによって宅地建物取引士資格登録簿の記載が変更されるわけではないため、このような問題が多々生じることになります。
専任の宅地建物取引士に就任したときも変更届を提出する
また、新たに専任の宅地建物取引士に就いたときも、会社の側で専任の宅地建物取引士変更の届出を提出しなければならないのと同時に、宅地建物取引士の側でも(取引士としての)名簿の変更届を行政庁に提出しなければなりません。
宅地建物取引士としての変更届は、専任の宅地建物取引士を退任(または会社自体を退職)するときと、新たに専任の宅地建物取引士に就任するときと、どちらも宅地建物取引士自身が行うことが原則となります(委任も可能)。この手続きは忘れてしまいがちなのでご注意ください。
なお、宅地建物取引士が新たな勤務先で専任の宅地建物取引士として勤務するための各種届出等については、専任の宅地建物取引士の事前準備をご参照ください。